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どうして私の時だけパニックの話

 

知的障害者の支援現場で、「私が勤務の時にAさんはパニックみになることが多い」「このスタッフじゃないとBさんが混乱してしまう」という場面、ありませんか?特に自閉症の方

特定のスタッフと関わると落ち着いて活動できるのに、別のスタッフに変わると緊張が高まり、不安定になる……

その不快反応やパニックと言ったら、外部から来た方を大変驚かせ、事業所全体に響き渡るような泣き声で他の利用者も不穏になることもしばしば、、、実は私も若手の頃には本当に苦労しました(年数的にベテランでも、その課題解決出来ないスタッフも居るにはいます)

こうした現象の背景には、脳の認知処理と、自閉症の特性に基づいた「刺激の受け取り方」が関係しています。今回はそのメカニズムを考えてみます。

 

自閉症の特性:脳が整理する「刺激」とは?

自閉症のある方には、外部の刺激を処理する方法に独特の傾向があります。

たとえば、視覚、聴覚、触覚、言葉、行動などの刺激に対して、過敏または鈍感に反応することが多いです。

     • 特定のスタッフの声や話し方は「認識しやすい情報」として脳に蓄積される

     • 不慣れなスタッフの声や動作は「未知の情報」として脳が過剰に処理しようとする

この違いが、特定の状況で反応が大きく変わる理由の一つです。言語認知に障害がある方が多いですよね?

 

基底核と扁桃体が生む「認識のパターン」

大脳基底核(だいのうきていかく)は、「いつもこうする」という行動パターンを保存する役割があります。

たとえば、「Aさんの挨拶→次に活動開始」という流れが基底核に記憶されると、それが脳内の効率的なルーティンとして機能します。自閉症の方は基底核の部分的過活性や統合されないこともある為、よりこのパターンが強くなる傾向があるようです。

しかし、Bさんに変わると、基底核が「いつもの流れが通じない!」と判断し、脳全体の混乱を引き起こします。この場合「Aさんと同じように挨拶」しててもです。

これが行動の不安定さや緊張感として現れます。

大脳基底核の主要な部位である扁桃体(へんとうたい)は、脳内で「この刺激は大丈夫か?」を判断する役割を持っています。いわゆる感情を司っています。いつも見慣れたスタッフに対しては、扁桃体が「リスクが少ない」と判断し、脳の活動が安定します。

しかし、不慣れなスタッフとのコミュニケーションだと、扁桃体は「この刺激は嫌っ」と捉え、身体の緊張を引き起こすことがあります。

これは過剰な興奮状態(交感神経の優位化)を招き、混乱や行動の変化に繋がりやすくなります。

 

 

パニックの背景にある「脳の情報処理」

特定のスタッフへの依存やパニックは、単なる「わがまま」ではなく、脳が外部の情報を整理(統合)する仕組みの現れです。

     • 認知の固定化:特定の人や環境が「安定した情報」として定着している

     • 未知の情報過多:慣れない人や状況が「新しい情報」として大量に押し寄せる

この認知処理のアンバランスが、行動の急激な変化を引き起こします。

 

耐性と汎化:情報処理の幅を広げる必要性

脳の情報処理をスムーズにするためには、特定のパターンに依存しすぎない「耐性」と「汎化」の力が重要です。

 

耐性とは?

耐性(たいせい)とは、変化や新しい情報や環境に適応する力のことです。

この力を育てるには、少しずつ新しい状況に慣れる経験が必要です。

     例)苦手なスタッフと短時間だけ関わり、少しずつ時間を延ばしていく。

 

汎化とは?

汎化(はんか)とは、一つの経験を他の状況や人に広げる力のことです。

たとえば、「Aさんが大丈夫だから、Bさんもきっと大丈夫だ」という認識を育てます。

     例)AさんとBさんが一緒に活動をサポートし、情報の一貫性を保ちながら新しい人(スタッフ)を受け入れる。

 

現場で感じた「パーソナルな脳の反応」

支援しているCさんは、特定のスタッフEさんに強く結びついていました。

Eさんがいるときは安定して活動できますが、Fさんが代わりに担当すると「Eさんじゃない!」いう感じで混乱し、活動どころではなくなってしまいました。

これは、Cさんの脳が「Eさんの声、動き、対応方法」を認識しやすい情報として整理していたためです。

一方で、Fさんの存在は「新しい刺激」として過剰に処理されてしまい、結果として混乱に繋がったのです。

 

脳の仕組みを知ると見えてくるもの

スタッフによる反応の差は、自閉症のパーソナル理解と、支援員自身を含めた刺激の把握と調整が足りないからかも知れません。

私たち支援者がその仕組みをイメージし、利用者が無理なく色々な刺激を受け入れられるようサポートをすることで、脳の適応力が少しずつ広がっていってくれたら嬉しいですね

繰り返しますが、“ベテラン”の年数でも利用者のパーソナル理解が浅いと苦労してますよね、、、

 

 

 

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